前回、フォトスキャンを使ってUAVの空撮写真から、起工測量用の点群を生成した。フォトスキャンから出力されたファイルはTXT形式で、点群はXYZ、RGBという順番で記述されている。データサイズは534メガバイト、点群の数は1300万点だった。このファイルを、今度は福井コンピュータの点群処理ソフト「TREND-POINT(トレンドポイント)」に読み込ませる。

 国土交通省は、建設現場に“生産性革命"をもたらすi-Constructionの普及に力を入れる。取り組みの1つとして、革新的なテクノロジーによって進化する建設現場を想起させる“シンボルマーク"を作成。建設現場の看板や仮囲い、作業員のヘルメットなどに使用することで、魅力的に変わる建設現場を業界の内外に広くアピールしていく方針だ。 注目されるデザインの最終決定は12月中旬を予定している。5日の「i-Construction推進コンソーシアム・企画委員会」(委員長・小宮山宏三菱総合研究所理事長)に提示された9つのデザイン(案)の中から、コンソーシアムの会員によるアンケート(審査)で決定する。

 「近く訪れる業界変革を見据え、新しい時代を先取りするための投資として決断した」と、マルフジ後藤重建(静岡県掛川市)の後藤義隆代表は胸を張る。
 「エリアでナンバーワンに」という志のもと、建設現場に生産性革命をもたらすi-Constructionの考えにいち早く注目し、コベルコのホルナビ3Dマシンガイダンス(ホルナビ)機能搭載の通常型ショベル「SK350LC」や後方超小旋回ショベル「SK235SR」などを購入。ICT建機全般への積極投資を進めている。

 標定点と写真をひも付けする時に感じたことは、標定点の点名を地面に書く場合は、必ずあとから写真を点群化する人が点名を判別できるよう、きれいに書くことが大切であるということだ。
 6と9は、空中から見るとどちらなのか非常に判別しにくいし、基準点と標定点も数字が似通うため、KとかGなど標定点の判別要素を入れておいてほしい。


 「実践ICT土工」で最初の作業は、現況測量から始める。現場の起工段階で実際にUAVを飛行させて撮影した現場の航空写真を、インターネットからダウンロードした「PhotoScan Professional」のデモ版にドラッグして読み込ませる。
 このソフトは、実際に購入すると3499米ドル(約40万円)もする高価なものだ。デモ版は結果の保存こそできないが、実際の作業手順を学ぶなら十分に使える。
 点群生成ソフトウェアは、このほか代表的なものとしてPix4D社の「Pix4D mapper」、トプコンの「MAGNET Collage」などがある。ほかにもインターネット上のクラウドサービスも多数存在しており、価格や使用頻度を考えて自社でのソフト購入やサービスとしての購入を検討したい。



 この連載では、これまでにさまざまな題材を取り上げてきたが、今回からは実際に国土交通省の直轄工事として発注されたICT土工のデータを使い、写真測量から、3次元設計データ作成、施工計画、疑似ICT施工、出来形管理、補完計測、電子納品までのステップを実践してみる。
 連載にあたっては、ソフトウェアベンダーの福井コンピュータ、レンタル会社のアクティオ、カナモト、西尾レントオール、測器メーカーのニコン・トリンブルの協力を得て、各社からの社員を迎え、講習会形式での実践体験を行った。

 有志による建設業者の全国ネットワーク組織「やんちゃな土木ネットワーク(YDN、事務局・正治組〈静岡県伊豆の国市〉)」をご存じだろうか。この組織は「新技術は試したいが、初めの一歩が踏み出せない」という地域建設業の悩みを解決するために発足した。

 ニコン・トリンブル(東京都大田区、丹澤孝社長)が9月1日、i-Construction専門の商品販売・サポートを行う子会社「サイテック(SITECH)ジャパン」を設立した。サイテックは、トリンブル製品の世界的なディストリビューター(販売代理店)で、世界各国に販売網を持っている。今回、日本にもサイテックジャパンが誕生したことで、トリンブル製品の販売やサービス、現場トレーニングなどを専門に扱う会社が生まれた。同社は、1995年から2次元マシンコントロールのブルドーザーを発売、2007年に情報化施工の専門チームを立ち上げて以来、約10年かけての会社設立となった。


 日本道路建設業協会のワーキング「なでしこエンジニアの会」は、自分たちの学びの場としての活動に加えて、外部への講習活動にも協力している。自分たちが職場や会の活動として蓄えた知識を、施工業者や発注者に対しても広めている。

日本道路建設業協会のワーキングとして組織されている「なでしこエンジニアの会」。道路会社、レンタル、測器メーカー、建機メーカーの女性有志約30人が、i-Constructionや道路業界の発展を目指して運営している。今回は、この「なでしこ会」の活動に密着した。


 発注図面に記載されている主要な基準点座標は、ICT土工などの3次元設計データ作成時に欠かせない数値だ。ただ、手打ちで入力すると間違いが気になるし、なにより手間がかかる。そこで活躍するデータ形式が「SIMAフォーマット」だ。
 このデータ形式は、座標や路線データを電子データのままやりとりできるように定められた書式で、測量機器やCAD間で観測データの受け渡しなどに利用されている。
 また、点群処理ソフトやマシンコントロールデータを作成するソフトに、工事基準点や主要座標点などを点群として読み込ませる時も、SIMA形式のデータを使うと一括で読み込ませることができる。
 今回は、エクセルを使って自分でSIMAデータを作成し、点群処理ソフトに読み込ませてみる。

 前回、発注図面から作成した3次元設計データをマシンコントロール用に加工した。今回は、3D-Officeから出力した「作業法面.TP3」というファイルを、建機に搭載してみたい。
 ちなみに前回は、3次元設計データをLandXMLで出力してから、3D-Officeに読み込ませて、マシンデータをはき出したが、福井コンピュータの「EX-TREND武蔵」を持っているのであれば、建設CADから3次元設計データを作成した後、直接トプコンのTP3形式でデータを出力することも可能だということを追記しておく。


 以前、発注図面から3次元設計データを作成し、3次元マシンコントロール(MC)ブルドーザーや、3次元マシンガイダンス(MG)、MC油圧ショベルといったICT建機にデータを転送する記事を掲載した。その時に使用したソフトは、ニコン・トリンブルの情報化施工システムだったが、今回はトプコンのシステムで同じことを行ってみる。

◇3D-Office

自分で作成した3次元設計データを、福井コンピュータのTRENDPOINTで表示している

 まず発注図面から書き起こした3次元設計データを、福井コンピュータ製の「武蔵」などから、LandXML形式かDXF形式で、TINデータを書き出す。今回のケースでは、LandXML形式で、自分でデータ作成した法面の路線データとTINデータを書き出した。
 次に、トプコンが提供している3DMCソフトウェア「3D-Office」を立ち上げる。このソフトはマシンコントロール用のソフトウェアで、設計データを読み込んでマシンコントロールシステム向けにファイルを作成してくれる。また、単にマシン向けのファイル作成だけでなく、座標点取り込みや編集、TINや路線データの断面編集、3Dシミュレーション表示、レイヤーの追加、座標計算などもできる。またTINだけでなく、ポリラインの追加なども可能だ。
3D-Officeに読み込ませた(平面表示)

◇自分のデータに建機が

 「路線」メニューから「路線データの取り込み」そして「LandXMLファイルから」というメニューを選び、書き出したファイルを指定して読み込む。
 また「TIN」メニューから「TINデータの取り込み」「LandXMLファイルから」というメニューで面を読み込むと、図1のようになる。
 この段階で、「3Dシミュレーション表示」というメニューを選ぶと、作成した3次元設計データが立体で表示され、建機もそのデータ上に現れる。マウスで視点を動かせるので、現場にいるような感覚でデータをチェックできる。
3D-Officeで3次元表示を行った

 いよいよ読み込んだデータを、今回は「作業法面」と名前を付けて保存する。すると「作業法面.TP3」というファイルが作成される。このファイルをブルドーザーや油圧ショベルのコントロールボックスに移すと、マシンコントロールやガイダンスが建機で利用できるようになる。
 本来ならば、作業内容に合わせた形でデータを加工し、工程や進捗に合わせてデータを加工していくのだが、今回はとりあえず、建機のキャビンにこのデータを移すところに進みたい。

建設通信新聞(見本紙をお送りします!)
前回、来年度からの準天頂衛星4機体制が、i-Constructionの現場に施工性向上をもたらすことを見てきたが、みちびきにはもう1つ大きな機能が実装されている。それが「センチメーター級測位補強サービス」通称CLAS(シーラス)である。RTK方式で必要だった基地局や、VRS方式で配信されている衛星補正情報に相当するものが、みちびき自体から放送されるという機能だ。(衛星画像出典:qzss.go.jp

◇補正情報を出すL6信号

 みちびきが出す信号はL1、L2、L5という米国GPSに準拠した信号を送り出す。これは、GPSと合わせて使うことを想定しているからだ。これに加えて、みちびきにはL6という信号が用意されている。
 L6信号は「センチメーター級測位補強サービス(CLAS)」という配信サービスに使われる。これは電子基準点で把握したGPSなどの衛星信号誤差から測位補強信号を計算して地上から準天頂衛星にアップリンクし、衛星経由で受信機側に補正情報を送るサービスだ。
 5機以上の衛星が見えれば、移動体で水平誤差12cm以下、垂直誤差24cm以下の精度が実現できる。
 内閣府ではこのサービスを、測量や情報化施工での利用を想定し、3~4級の基準点測量や写真測量の標定点測量などに利用できると広報している。また車載型の3次元測量であるMMS(モバイルマッピングシステム)への活用も想定している。
L6信号での配信サービスイメージ

◇PPP-RTK

 L6信号に乗せられたCLASは、精密単独測位(PPP)とも呼ばれている。電子基準点のデータをもとに補正情報を生成し、みちびきの管制局から追跡管制局経由で衛星に補正データをアップリンクし、L6信号で地上に放送する。
 RTKやVRS方式が、基地局と移動局の相対的な補正データとすると、CLASを利用した補正方式は基準点座標に依存しない補正方式とも言われる。
 測位誤差を、衛星軌道・時計、電離層遅延、対流圏遅延などに分離して補正を行う方式がSSR(State Space Representation)方式と呼ばれている。PPPは、この方式の中の1つで、衛星関連と、電離層・対流圏の誤差を補正し、マルチパスと衛星数などの測位者にかかわる誤差は受信機側で補正する。

◇VRSとの違い

 ではL6信号でCLASを利用すれば、基準局や衛星補正データが不要になるかというと、どうもそうではないようだ。
 CLASからの補正情報の配信は、約2万㎞離れている衛星経由となるため、10数秒のタイムラグが発生する。電離層が急激に変化する擾乱などの場合は、測位結果が乱れる場合もある。
 一方でVRSなどの地上型の配信サービスは、携帯電話回線などを使って1秒ごとに補正情報を流すため、遅延時間はそれほど影響しない。CLASを使って建機の刃先をコントロールする場合、遅延時間がどの程度出来形に影響するのか、今後のみちびきの運用開始を待つ必要があるだろう。
VRS方式での補正情報配信


建設通信新聞(見本紙をお送りします!)
8月11日に打ち上げ予定が迫った準天頂衛星「みちびき3号機」。6月に打ち上げが成功したみちびき2号機に引き続き、日本独自の測位衛星が順調に軌道に乗せられていく。これを含め今年度はあと2機の打ち上げが予定されていて、年度内に念願の4機体制が整う見込みだ。このみちびきが、どのようにi-Constructionにかかわるのかを見てみたい。
(衛星画像の出典:qzss.go.jp)

◇衛星と誤差

 一般的なカーナビなどでは、数mの誤差があってもジャイロや道路地図などの情報と照らし合わせて位置を表示するため利用上問題はないが、GPSやみちびきなどの測位衛星を使って建機の刃先などの座標を把握するためには、数cm単位という座標精度が必要だ。
 ところが衛星からの信号には、衛星の時計(クロック)、軌道、電離層、対流圏、マルチパス(ビルなどに跳ね返った信号も拾ってしまうこと)といったさまざまな誤差が含まれている。こうした誤差を取り除かないと数cmオーダーの測位精度は出せない。
 そこで、現在GNSSを利用した情報化施工に使われる測位方式は、RTK方式とネットワークRTK方式のVRS、FKPといった方式を使っている。
VRS方式のイメージ

◇RTKとVRS方式

 RTK方式は、現場に基地局となるアンテナ・受信機を1台、建機に搭載する移動局としてアンテナ・受信機を1台の2台利用する。
 RTK方式では、動かない基地局を既に座標が分かっている工事基準点などに固定して、電離層や対流圏が原因で発生する伝送遅延誤差や衛星軌道誤差、衛星と受信機の時計の誤差を相殺して移動局の座標を数cm以内に抑える。
 一方、VRS方式は、国土地理院が全国に1300点整備している電子基準点で現場を囲み、現場近くに仮想的に基準局を設定して衛星の補正情報を作り、インターネット経由で移動局に送り、RTK方式の測位を確立する。
 アンテナ・受信機の価格は数百万円程度するので、VRS方式ではその数を減らして安価にRTK方式の測位ができる。補正情報は、ジェノバなどの補正情報配信会社と契約する。

◇みちびき4機体制
4機体制の衛星配置例(左が4機体制になった場合)
現場でGNSS測位を利用する時は、最低でも5機の衛星を常に受信できる環境が必要だ。測位衛星には、米国のGPS、ロシアのグロナス、中国の北斗(ベイドゥ)、欧州のガリレオなどがあるが、日本の緯度に合わせて打ち上げられたものではないので、5機以上を常に受信できるとは限らない。また都市部ではビルなどが多く、天頂付近に衛星が見えないと信号が受信できない。
 「みちびき」は、特殊な軌道を回らせることで、常に天頂付近に衛星が1機は配置されている状況を作り出す。常に自分の位置から衛星が止まって見える静止軌道を南北方向に傾けた「8の字軌道」で、日本からオーストラリアの上空を移動し、日本上空には約13時間留まっている。
 既に上がっている1、2号機と、今後打ち上げられる4号機は8の字軌道で、今回打ち上げの3号機は静止軌道に乗せられる。静止軌道1機と8の字軌道の3機の合計4機体制で、日本独自の測位システムはとりあえず完成する。政府は今後、2023年度をめどに7機体制の運用を始めるとしている。
 みちびきが18年度から運用開始すれば、i-Conの現場でも安定して衛星の信号を受けることができるようになり、施工性の向上が大いに期待できる。(つづく)

建設通信新聞(見本紙をお送りします!)