UAVの軽快な測量スピードとレーザースキャナー(LS)の詳細な点群取得を組み合わせた「LS搭載型UAV」が登場した。UAVメーカーで3次元計測・処理も行うアミューズワンセルフ(本社・大阪市中央区、佐野一栄社長)は、UAVにレーザースキャナーと慣性計測装置(IMU)を搭載した「TDOT」を開発、実用化している。このシステムは、1m程度の大きさの8枚ローターUAVに、1秒当たり4万点をスキャン可能なLSを搭載し、空中から自動飛行で地上を計測する。
直径1m程度のUAV下部にLSを搭載している


◇計測の流れ

 具体的な計測手順を見てみる。同社が開発している飛行計画ソフト「フライトプランビルダー」は、全国の航空写真データと国土地理院が提供している「DEM」と呼ばれる数値標高モデルを内蔵しており、計測する現場の範囲を地図上で範囲設定すれば地表面からの高さに応じた飛行プランを出力する。
 また飛行中もリアルタイムに、UAVの位置や速度、バッテリー残量を把握して、安全な飛行とスキャンを実現する。
フライトプランを自動作成する

 計測が完了したら、搭載したLSに差し込んでおいたUSBメモリーを抜き、PCに挿入するだけで、プレ解析を行い、リアルタイムに点群データを表示する。
 メモリーには、機体のGNSSアンテナから単独測位で取得した飛行中の自機位置と時間が、ヨー、ロール、ピッチの誤差などを計算して記録されており、現場近くの電子基準点のデータと付き合わせて後処理で精密な自機位置と姿勢を解析、点群の座標を厳密に確定する。

◇空中LS測量のメリット

 空中LS測量は写真測量と比べて、現場に生えている植生の影響を受けにくい。写真では樹木や草の表面しか点群化できないが、LSが発射するレーザーは葉の間を抜けるものもあり、横断方向に切った時に地表面のデータも取得できる。
 また風のある時に撮影した写真では、ステレオ化した時に次の写真と草などの位置が変わるため、点群生成ソフトがエラーを起こすことがあるが、レーザーでは風の影響を受けない。点群処理時に樹木フィルタリングをかければ、樹木が茂っていてもある程度の地表面が現れてくる。
詳細な点群データが得られている


◇冗長性

 高価なLSを空中に飛ばすためには、UAVを絶対に落とさないことが必要だ。そのため同社のUAVには、多くの冗長性手段が施されている。
 UAVのメイン基盤を2重化し、飛行中に基盤が損傷してもサブ基盤に切り替わり飛行を継続する。またローターを8枚にしたことで、4枚や6枚のものに比べて、1つのモーターが故障しても安全に戻ってくる。またバッテリーも並列で接続しており、1つが消耗しても電源供給を続ける。
 UAVの運搬についても設計を作り込んでおり、工具なしで折りたたみ、組み立てが可能だ。飛行時は縦横1m程度の大きさだが、折りたたむと幅40、奥行き93、高さ32cmのケースに収まり、山道でも背負って運ぶことができる。
 工具なしの組み立てにより、マニュアル飛行なら5分、自動飛行などの準備を入れても約15分というスピードで準備が完了する。
折りたたむとコンパクトに収納できる


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 LSを使った出来形管理を行う場合、施工者は施工計画書に「標定点」の設置計画を定める必要がある。これはLSで行う計測結果を3次元座標に変換するために使うが、任意設置できる等、測量機器同様に基準点などに機械設置できるものであれば、標定点の設置は不要だ。
 ただLSによる計測結果を3次元座標へ変換したり、LSを盛り変えて複数回の計測結果を標定点を使って合成する場合は、工事基準点からTSで標定点を作ろう。
 標定点は、計測範囲内に3点以上配置することになっており、プリズムなどを使って4級基準点および3級水準点と同等以上のものを設置する。標定点は工事基準点自体を使ってもよい。
 実際に現場でスキャンする場合は、出来形形状を取得しやすい場所にLSを設置し、まず標定点を計測する。その後、精度確認試験を行ってから、実際の計測を行う。後方公会設置した場合は、LSの座標は確定しているので、精度確認試験を行って計測に入る。
 精度確認の方法は、2カ所以上の既知点を用意してTSやテープで点間距離を実測しておく。その後、実際にLSで計測して点間距離を測ってみる。両者の計測結果が2cm以内(出来形の場合)であれば、試験結果報告書を作成して提出する。

◇気をつけるポイント

 計測で気をつけるべきポイントがいくつかある。まずはLSの特性だ。レーザーは、計測面との入射角が小さいと、精度が大幅に減るという特徴がある。入射角が小さいと、レーザー照射面が楕円状に広がってしまい、この中の反射率が高い場所からレーザーが反射する。本当に測りたい場所はレーザー中心なのに、ずれる現象が発生してしまう。
 入射角が10度程度では、2-5cmも精度低下する場合があるため、極力測定面に正対するように設置すべきだ。
 また目標物との間に障害物があると、当然レーザーは遮られる。仮設構造物や建設機械は見えない方がよい。スキャナーの盛り変えについても、対象物との距離や角度の違いで、取得する点群の密度が変わらないような地点を選んで計画的に行いたい。
 出来形を計測する対象については、計測表面に草木が生えていたり、濡れていたりしないかも気をつける必要がある。
盛り変え時に使用するボール形のターゲット


◇計測の精度と密度

 LSの計測精度と評価に必要な点群密度も、利用場面ごとに求められる数値が違う。計測精度は、出来形計測で2cm以内、起工測量と岩線計測が10cm、部分払出来高が20cmと緩くなっていく。
 取得する点群の密度については、出来形計測が10cmメッシュに1点、起工測量と岩線計測、部分払出来高が50cmメッシュに1点だ。ただし出来形評価用のデータについては1mメッシュに1点でよい。
 点群の密度はLSで簡単に設定できるため、出来形と部分払出来高を同時に計測するケースなどは10cmメッシュに1点以上を設定しておき、点群処理ソフトで間引いて使えば計測の手間が省ける。

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 ICT活用工事で必要な3次元起工測量と出来形管理といえば、空中写真測量を採用するケースが多い。UAVなどを使って空中から写真を撮影し、パノラマ写真から3次元の点群を生成するのが空中写真測量の原理だ。
 また3次元測量のもう一つの方法としては、レーザースキャナー(LS)を使用する方法がある。こちらは「レーザースキャナーを用いた出来形管理」の要領案で規定されているが、この原理は、レーザー光を計測対象に照射して、反射光の距離と角度をつかって3次元座標を計測する。
 レーザーは、トータルステーション(TS)でも使用しているが、そのほか地上形レーザースキャナー、モービルマッピングシステム(MMS)、航空レーザー測量などに応用されている。
 地上形LSは、レーザーを水平・垂直方向に360度回転して照射するので、スキャナーの全周にわたって座標を取得できる。ただスキャナーの設置位置が基準になるので、広い現場を計測する場合は本体を盛り変えて計測し、後で座標を合わせながら点群を結合(レジストレーション)する必要がある。
 LSでは、計測機が地表に固定されているが、空中写真測量は、UAV等を使うため計測機自体が動く。LSの利点としては、固定された座標から距離と角度を実測するという点で、写真測量よりも正確性が高いといえる。

◇必要な機器

LSによる出来形管理の流れ

 LSの出来形管理要領で必要とされている機器構成は、LS本体、点群処理ソフトウェア、3次元設計データ作成ソフト、出来形帳票作成ソフト、出来形算出ソフトとされている。
 LS本体は、測定精度がプラスマイナス20mm以内、点群に色データがあること、精度管理に関する資料も提出が必要だ。
 具体的なソフトについては、点群処理ソフトウェア、出来形帳票作成ソフト、出来形算出ソフトは、福井コンピュータの例では「TREND-POINT」が該当する。このソフトではバージョン4から、帳票作成機能がついた。ほかのメーカーでは、「Trimble RealWorks」(ニコン・トリンブル)、「Image MASTER UAS」(トプコン)などが発売されている。
 一方で3次元設計データ作成ソフトは、EX-TREND武蔵(福井コンピュータ)、Buisiness Center(ニコン・トリンブル)、3D-Office(トプコン)などがある。

◇監督検査での留意点

標定点の例

 レーザースキャナーを用いた出来形管理の監督・検査要領(土工編)は、監督、検査職員向けの規定を解説しているが、管理の流れとして施工計画段階での3次元化の指示、施工者が作成した3次元設計データの確認、出来形数量算出結果の確認、出来形計測状況の把握、書面・実地検査などが、要領のポイントになっている。
 従来からのTS出来形管理と異なるのは、(1)工事基準点だけでなく「標定点」の測量結果(2)3次元データ設計のチェックシート(3)精度確認試験結果報告書(4)LS用の出来形管理図表をそれぞれ確認する点だ。加えて、実地検査の際にTSを使って3次元の設計面と実測値の標高差が規格値に収まっているかを検査する。

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 今回は、焦点距離と画角の関係について見てみたい。焦点距離は、光学的なレンズの中心から、フィルムやイメージセンサーまでの距離のことを言う。この距離が長いと望遠レンズとなり、短いと広角レンズとなる。カメラの世界では、焦点距離=画角と同義のとらえ方をしている。
 画角は、空中写真測量でいうと、現場のどれくらいの範囲を1枚の撮影でカバーできるかということになる。現時点での空中写真測量による出来形計測で、撮影ラップ率は、進行方向に90%以上、隣接コースとのラップ率は60%以上と決められている。画角を広くとれれば、事実上、撮影効率はアップする。
 今回、ズームレンズを使って焦点距離を変えながらスケールを撮影した。使用したカメラは、センサーが4256×2832画素(35mmフルサイズ)、前回と同じ条件の距離10mから50cmスケールを撮影したところ、24mmで150画素(1cm当たり3画素)、50mmで305画素(1cm当たり6.1画素)、70mmで422画素(1cm当たり8.4画素)となった。
 おおざっぱだが、24mmなら30m、50mmなら61m、70mmなら84mの距離まで要領を満足できる計算だ。(ただ撮影高度については、「対地高度50m程度」とされていることには留意したい)。
 3通りの焦点距離と高度から、写る範囲(画角)を計算で求めてみた。
 焦点距離24mm、高度30mで写る範囲は、横方向102m、縦方向40mになる。
 一方、焦点距離50mm・高度61mでは、横50m・縦31mなのに対し、焦点距離70mm・高度84mでは、横46m・縦30mとそれほど変わらない。
 このように焦点距離から撮像範囲を求めることができるので、UAVなどにカメラを取り付けて空中写真測量を行い、3次元座標点を算出する場合は、焦点距離について計算すると、飛行ルートを自分で設定することも不可能ではない。

◇センサーで焦点距離は変わる

フルサイズとAPS-Cの映像素子の比較

 焦点距離で気をつけなければならないのは、あくまでフィルムやセンサーの面積が35mmサイズの場合で計算しているということだ。ハイエンドの一眼レフデジカメでは、「フルサイズ(36×24mm)」というCMOSセンサーが使われていて、銀塩写真のフィルムとほぼ同じ面積のイメージセンサーなので、焦点距離も銀塩写真と同じに捉えてよい。
 しかし、CMOSセンサーの規格には、APS-CやCXフォーマットなど、フルサイズより小さな大きさがある。これはコンパクトデジカメなどに使われており、APS-C(16.7×23.4mm)のセンサーの面積はフルサイズの半分以下だ。
 当然、面積に応じて画素数も少ないので、フルサイズと同じ焦点距離でも、撮影範囲は小さくなる。また実際の焦点距離は、フルサイズより短くなる。デジカメの説明書には「35mm換算焦点距離」という記載があり、写真測量に使うカメラを購入した時は、この点のチェックが重要になる。

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 国土交通省は、i-Construction(アイ・コンストラクション)のトップランナー施策「土工へのICT(情報通信技術)の全面的な活用(ICT土工)」の普及を目的に、取り組み事例集『i-Constructionの取組状況(ICT土工事例集)Ver.1』を作成した。
 事例集として、普及が進む直轄工事や、先進的に取り組んでいる自治体発注工事を紹介。「UAV(無人航空機、ドローン)の使用によって起工測量の日数が短縮できた」「従来よりも少ない人員で対応することができた」「マシンコントロールによって(手元だけに集中することなく)周囲の安全確認に注意を払うことができる」など、実際に工事を施工している建設企業の“現場の声"を交えながら、その取り組み効果を解説している。
 事例の1つである「多伎朝山道路小田地区改良第12工事」(島根県出雲市)は、ICT土工に対応できる技術者の育成に力を入れているカナツ技建工業(元請け)が地域の測量会社や建設コンサルタント、システム会社と連携して、3次元設計データの作成からICT施工まで一連の作業を主体的にこなすなど、そのノウハウの習得に励んだ好事例。作業人員、作業日数が従来との比較でともに4分の1に縮減するなど、まさに建設現場の“生産性革命"につながっている。
 また、ICT活用工事の流れとして、発注者と受注者それぞれの担当者などが行うべき事項を「発注段階」「機器・ソフトウェアなどの準備段階」「施工計画・準備段階」「施工段階」「出来形管理段階」「変更段階」「完成段階」「検査段階」に至る各フェーズに沿って分かりやすく記載。
 全体の流れだけでなく、各段階での書類の様式や記入例なども掲載している。
 事例集は、1日の北陸ブロックを皮切りに、全国8ブロックで開催している2016年度の秋季「地方ブロック土木部長等会議」で配布する一方、7日からホームページでも公開している。
 受発注者の双方にとってICT土工のメリットや理解の促進、取り組みへの機運醸成につながるものになりそうだ。


 ICT活用工事に必要な3次元起工測量と出来形管理計測。最近はドローンなどのUAV(無人航空機)を使って現場上空から写真を撮影し、デジタル写真測量で3次元データをつくる方法が多くなっている。
 こうしたUAV空中写真測量は、(1)工事前のデータと設計データを比較して施工数量を確認したり、(2)工事前後で施工数量(出来高)を計算したり、(3)工事後のデータと設計データを比べて施工精度(出来形)を確認する方法としてi-Constructionでも管理要領が作られている。
 今回は、いったいどんなカメラを使って、空中写真を撮影すればいいのかを掘り下げてみたい。
 空中写真測量(無人航空機)を用いた出来形管理の監督・検査要領では、デジカメの条件として、(1)計測性能は地上画素寸法が、出来形管理目的の計測の場合、1画素あたり1cm以内(2)測定精度はプラスマイナス5cm以内--と定められている。基本的には、高度は一定で、50m程度で撮影することになっている。

◇1画素1㎝とは

 1画素あたり1cmとは、どのような意味だろうか。写真1を見ていただきたい。この写真はCMOSセンサーサイズが35mmの一眼レフデジカメを使い、レーザー距離計できちんと計測した距離10mから撮影した画像だ。
(写真1) 画面中央に50㎝スケールを置いている

 撮影データは、イメージの大きさが横4256画素×高さ2832画素。焦点距離24mm、絞り5.6、シャッタースピード125分の1、ISO感度400だ。
 この写真に映っている幅50cmのスケールを拡大すると、写真2になる。
(写真2)中央のスケールを拡大した

 画素は、フォトショップなどの画像処理ソフトで写真を開き、水平や垂直をとったスケールをトリミングしてから、「画像解像度」を確認するとわかる。
 スケールの画素数を数えてみると、50cmの幅に152画素あった。1cmあたり3画素あるため、要領の3倍ほどの密度があるのでクリアできる。また1画素あたり1cmの規定ならば、30m離れてもクリアできることになる。

 このカメラであれば、UAVに搭載しても高度30mから撮影することができる。
 写真3は、一般的なコンパクトデジカメで同じものを同じ距離で撮影した。撮影データは、イメージの大きさが横2816画素×高さ2112画素。焦点距離25mm、絞り5.6、シャッタースピード60分の1、ISO感度200。
(写真3)コンパクトデジカメで撮影したスケール

 コンパクトデジカメなので、やはり画像が粗く、同じスケールを拡大すると、50cm幅に108画素となった。この場合は1cmあたり2画素となるので、UAVに搭載した場合は高度20mまでしか撮ることができない。
(写真4)コンパクトデジカメだと画像が荒いことがわかる

 実際に現場で使用する場合も、距離をきちんと測ってスケールを撮影し、画像処理ソフトで拡大して画素を確認すれば、要領に合致している写真が撮影できるかを判断できる。あらかじめ飛行高度がわかっていれば、その距離に合わせて撮影すれば、より判断しやすい。
(この解説は、現在の管理要領に基づいて解説しています)

 前回まで、油圧ショベルのICT建機化を取り扱ってきたが、今回はブルドーザーに3次元マシンコントロール(3DMC)システムを取り付ける。使用するブルドーザーは、キャタピラーのD3Kという機種だ。GNSSではなくトータルステーション(TS)による座標指示で施工できるようにする。アクティオの協力で行った。

◇ハードの取り付け

TSターゲットを取り付けるマスト

 ブルドーザーは、油圧ショベルに比べて可動部分が少ないので、設定は比較的簡単だ。今回もニコン・トリンブルのシステムを使用する。
 まず、排土板(ブレード)背面にTSターゲットを取り付けるためのマスト(EM400)を取り付ける。システムは、ブレードの勾配とピッチを計測する2つのセンサー、コントロールボックス、バルブモジュール、無線機などで構成されている。
ブレード裏にあるセンサー
このセンサーでスロープを検知する

 ハードのセッティングは、建機に対してブラケットやマウンティングプレートの溶接が必要だが、例えばキャタピラーなどではメーカーが出荷時にそうした作業を行っている機種がある。そうした機種であれば、各種機器類のハーネスなどを接続してセッティングは数時間で終わる。

◇建機の数値を設定

 ハードの装着後は、コントロールボックスで「建機の設定」を行う。設定は、ブルドーザーのモデル、マストの位置、無線機、ブレードタイプ、バルブモジュールなどを指定したあと、建機の寸法を測ってシステムに入力する。
 建機の寸法は、ブレードの刃のボルトを基準に、マストの高さ、奥へのオフセット、ブレードの幅、高さ、刃の切削端を計測して、ミリ単位で入力する。また建機の全長、本体から刃の先端までの距離を測って入力する。
ブレードの数値を計測
マストの高さも測る
数値入力が終わると、実際にブレードを動かしてセンサーの数値が変わるかを確認する。
 その後、トータルステーション(TS)との無線通信を設定する。「接続設定」というメニューで、無線機のチャンネルとネットワークIDを指定し、電源を入れたTSとの通信が確認できればOKだ。
 こうしてセットアップが終わると、キャリブレーションという作業を行う。まずセンサーについて、マストを垂直にした状態で、キャリブレートというボタンを押すと、センサーと通信して自動的に行われる。
バルブをキャリブレーション

 また、3DMCでは油圧バルブも自動で制御されるため、「バルブキャリブレーション」も行う。エンジンをかけた状態でリフト、チルトともにメニューから選ぶだけで、約10分間かけてシステムが自動的にバルブの調整をしてくれる。あとは設計データを読み込ませれば、3DMCでの施工がスタートできる。
 実際にブルドーザーに乗り込んでから行うのは、TSとの連携だ。工事基準点や後方交会法で任意点に設置したTSとターゲットIDを合わせて通信を始める。
コントロールボックスを設定

 TSはブルドーザーのマシンターゲットを自動追尾して、位置情報をブルに送る。オペレーターが左手レバーに付いているAUTOボタンを押せば、コントロールボックスが格納されている3次元設計データと照合しながら、ブレードを設計面に合わせて自動でコントロールしてくれる。
TSと連携させた

 アクティオのヤードで行った講習会では、初心者である記者や参加した女性でも簡単に、3DMCによるブルドーザー施工ができることを実証した。

 前回、油圧ショベルへのGNSSアンテナ据え付けとコントロールボックスへの建機設定を行った。3次元マシンガイダンス(3DMG)油圧ショベルの場合は、2台のGNSSアンテナと、ブーム、アーム(スティック)、バケット、ピッチ・ロールを感知するセンサー、GNSS基準局との通信を行う無線機、コントロールボックスで構成されている。
接続テストの画面
コントロールボックスの電源を入れると、それぞれの機器との接続テストが始まる。すべての機器との接続が完了すると、ステータスに「接続済み」という表示が出て、機器が正常に動いていることを確認できる。

◇RTK方式とは

 油圧ショベルのGNSSアンテナは、移動局と呼ばれるもので、これだけではセンチメートルレベルでの正確な座標が計算できない。RTK(リアルタイムキネマティック)という方法を使って、補正情報を受信する必要がある。
RTK方式

 補正情報は「基準局」と呼ばれるGNSSアンテナと受信機から、無線で受け取る必要がある。基準局は、すでにわかっている座標(既知点)に固定し、GNSS衛星から測位情報を解析し、信号の揺らぎなどを移動局と比較して精度を上げていくための情報だ。従ってRTK方式では、3つのGNSSアンテナを使うことになる。
ネットワーク型RTK方式(VRS)

 基準局を現場に設置せず、移動局だけで運用する方法もある。こちらはネットワーク型RTK方式(VRS)と呼ばれ、全国に約1300点設置されている電子基準点を使って、補正情報を得る方法だ。
 現場近くにある電子基準点が計測している衛星の測位情報から、油圧ショベルの移動局に補正情報を提供する。具体的には、ジェノバのような補正情報データ提供会社と契約し、携帯電話回線を使って油圧ショベルが補正情報を受信する。

◇基準局の設置

 今回のセットアップはRTK方式なので、現場事務所の屋根に基準局を設置する。事務所から電源を引き、きちんと測量した座標に受信機一体型のGNSSアンテナを取り付ける。アンテナと無線機を接続し、無線機の周波数やネットワークIDを設定する。
現場事務所屋根に基準局を設置
油圧ショベル側のコントロールボックスでも、基準局と通信できるように、無線機の周波数とネットワークIDを同じに設定する。設定が正しくできれば、油圧ショベルに基準局からの補正情報が送られ、建機の正確な位置がコントロールボックスに表示される。
コントロールボックスで受信機を診断
衛星数や位置も確認できる

 ちなみに衛星の受信状態は、コントロールボックスから確認できる。診断というメニューから、機体左右のそれぞれのアンテナが、何機の衛星を補足しているのか、衛星からの信号はきちんと受信されているかが確認できるほか、「スカイプロット」というメニューからは、補足している衛星の天空位置とGPS、GLONASS、GALILEOといった周波の種類までも教えてくれる。
 ここまでの作業で、建機のインストレーションは完了する。あとは、セットアップメニューから「センサーのキャリブレーション」を選び、各センサーの調整を行えば施工準備が整う。
設計データを読み込ませた
刃先位置を表示させた

 あとはUSBメモリーで、発注図面から作成した3次元設計データファイルを読み込ませれば、ICT活用工事で指定されている「3Dマシンガイダンスを利用した施工」が始められる。
 次回は、この作業をブルドーザーでも行ってみる。

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北陸地方整備局信濃川下流河川事務所が進める山島新田地区河道掘削事業と、当該工事で導入するICT(情報通信技術)土工の目的を広く発信する「愛(I)CT情報館」が20日、新潟県加茂市鵜森山地先にオープンした。同日に開かれたセレモニーには多くの関係者が出席。北陸初となるICT情報館の設置を祝うとともに、河川土工のICTモデルとなり得る同事業の円滑な推進に期待を寄せた。


島内にiCT対応建機がないという地域差が原因か(写真と本文は関係ありません)
新潟県土木部が2016年度から試行しているICT(情報通信技術)活用工事4件(10月6日現在)のうち、2件でICTの導入が見送られた。ともに工事現場は新潟県佐渡市。地理的な特性からICT建機やその操作に関するサポート体制が確保できなかったことが主な要因とみられる。ただ、同様の問題は離島に限らず、山間地などのへき地でも生じる恐れがあり、土木工事のICT化に地域差が懸念される。

◇離島という障壁

 同市内のICT活用工事の対象は、▽主要地方道佐渡一周線沢崎工区道路改良工事(施工者・中野建設工業)▽同竹ヶ鼻バイパス道路改良工事(共栄建設工業)--の2件。導入を断念した経緯は明らかになっていないが、島内にはICT建機がなく、本土から取り寄せる場合は運搬費が別途発生するほか、操作方法などに精通した人材が必要なこともあって、二の足を踏んだようだ。
 一方、ICT土工が市街地を中心に進んでいけば、離島、山間地などとの“浸透率"の格差は広がり、それが地域建設業に波及していく可能性は否めない。

◇新潟県の対応

 県土木部はICT活用工事の試行結果を踏まえ、次年度以降の施策展開に生かす方針。また、補正予算の編成を待って、試行案件の追加を検討するという。既に国川地すべり対策工事(田中産業)と一級河川渋海川広域河川築堤工事(大石組)がICT活用工事の初弾に決定している。
 試行案件はすべて手上げ方式(施工者希望型)。従来施工の積算で契約した後、施工者の希望に応じてICT用の歩掛かりで変更契約し、UAV(無人航空機)やICT建機の導入を後押しする。

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i-Construction型工事(ICT活用工事)を受注した時にやらなければならない5つの条件がある。それは、(1)三次元起工測量(2)3次元設計データ作成(3)ICT建機による施工(4)3次元出来形管理などの施工管理(5)3次元データの納品--だ。
 今回は、このうち(3)にあるICT建機による施工(3Dマシンコントロール、3Dマシンガイダンス)にスポットを当てる。
 活用工事に取りかかって、3DMGの油圧ショベルが現場に運び込まれた場合、どのようなことを行わなければならないのだろうか。それは、建機のセットアップだ。今回は、日本キャタピラーの協力でその手順を体験できた。

◇CAT312Eをセットアップ

新品のGNSSアンテナ
 セットアップするのは、CATの312Eという機種で、機体に「Grade Control」というロゴが書かれている情報化施工対応機種だ。トータルステーションではなく、機体のGNSSアンテナ2基と、現場に基地局を設置してRTK(リアルタイムキネマティック)方式で補正情報を取得するタイプのセッティングだ。
建機にはまだアンテナも立てられていないので、鉄製のマストとGNSSアンテナを機体後部まで運び上げる。
 対応型建機は、工場出荷の段階でマストや無線機を取り付けるブラケットやハーネスを通す穴などが用意されている。
マストにアンテナを取り付ける

 その取り付け位置にマストとアンテナを取り付け、ハーネスを機体内部に取り回し、また角度センサーをバケット、アーム、ブーム、本体にそれぞれ取り付ける。
 オペレーターが操作するコントロールボックスをキャビンに設置し、センサー類、無線機、アンテナを接続すれば、とりあえず3DMG油圧ショベルの完成だ。
建機内部でハーネスを取り回す
キャタピラーのマシンにニコン・トリンブルのシステムを取り付けるのは簡単だが、対応していない建機に情報化システムを取り付ける場合は、ブラケットの溶接などが手間になる。
 情報化施工システムは高価なので、同一の対応型建機を複数購入し、施工時期に合わせてシステムだけを載せ替えるという運用をしている建設会社もある。
キャビンのコントロールボックス

◇建機の設定

 ハード類が取り付けられたあとは、コントロールボックスを使った建機の設定を行う。今回は、トリンブルのCB460というコントロールボックスに、GCS900というシステムが載せられている。コントロールボックスの電源を入れ、インストールというメニューから、建機の寸法を入力する。寸法は、アーム、ブーム、スティック、バケットのピンの中心の距離を、項目に従ってミリ単位で計測し、正確に入力する。

コントロールボックスで、実際の建機の寸法を計測して入力
トータルステーションを使えば正確で簡単に測れるが、ブームピンが本体カバーに隠れている機種もあるので、セットアップ時には取り外して計測する必要がある。
 また同じ型番の機種であっても建機の個体差があるため、計測結果は機体ごとに管理しておくほうがよい。油圧ショベルは、関節が多く、バケットの爪先までいくと、細かい誤差が積み重なっていくので、正確に計測しておくべきだ。
 また本体についても機体の幅、地面からブームピンまでの高さ、マストから建機後方までの距離なども入力する。


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 パスコは、6月から西尾レントオールと開始した「ドローンを活用した3次元測量とデータ加工・処理サービス」で収集した3次元データで土量計算や出来形管理ができる専用ソフト「PADMS:i-Con」を開発した。国土交通省が3次元データ用に整備した調査・測量、設計、施工、検査の新基準に対応している。
 新ソフトは、国交省が打ち出したi-Construction(アイ・コンストラクション)向け専用で、新基準にあわせた土量計算や出来形管理、評価・検証・成果物作成に特化している。ドローンによる空撮で取得した標定点・検証点データや設計3次元モデルを取り込み、出来形評価用のメッシュデータを自動生成するほか、計測点群データの間引きや設計3次元モデルと計測点群データの比較差評価、土量算出・評価、出来形管理図表作成支援などができる。基盤システムには、高速処理と高いレスポンス性能が評価されている「PADMS」を採用した。
要領に対応した出来形管理図表も作成できる

 期間契約でライセンスを提供する方法で、1ライセンスは年額35万円(税別)。現場で使用する期間(月単位)での契約が可能で、期間中はソフトウエアのバージョンアップやヘルプデスクサポートも充実させる。

(2016年10月5日 建設通信新聞)